蝶々事件ラブソディック

昭和五年 横濱――。 大戦後、軍国主義の風潮が陰鬱な影を落とすこの国で 異国情緒溢れる華々しい発展を遂げた横濱。 ある夜、そんな狂瀾の街で女学生の惨殺死体が見つかる。 『名門女学校の子女惨殺』というセンセーショナルな事件に世間は湧くが それはここ最近横濱で起っていた、扇情的で猟奇的な《怪奇事件》のひとつにすぎなかった。 ――事件から遡ること一ケ月。 横濱駅にひとりの少女が降り立つ。 少女のもとに、名門と名高い「イエーヴァ女学校」から編入案内が届いたのは数ヶ月前のこと。 身寄りのなかった少女は、希望を胸に横濱へと向かった。 それが《少女の秘密》を欲する者たちが用意した、 誑惑(きょうわく)の招待状とも知らずに――。 「どれだけの数が“彼女”に惹きつけられるか……愉しみだ」 《少女の秘密》――それは自身も知らぬ密やかなる《香り》。 その《香り》は“彼ら”を魅了し狂惑(きょうわく)させる。 秘密は蜜か。例えそれが甘い毒だとしても――。

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