あの一番辛かった日々。 毎日ふさぎ込んでいた日々。 そんな僕の前に、四人の男の子が現れて、僕に手を差しのばしてくれたんだ。 「強敵があらわれたんだ!きみの力がひつようなんだ!」 そう彼らは訴え、僕の名を訊いた。 「・・・なおえ、りき」 「よし、いくぞ、りき!」 一方的に手を掴んで、僕を引きずるように走り出す。 「ね、きみたちは!?」 転ばないように必死についていきながら、そう訊く。 「おれたちか? 悪をせいばいする正義の味方。 ひとよんで・・・リトルバスターズさ」 歯をにやりと見せ、そう名乗った。 敵は、近所の家の軒下にできた、大きな蜂の巣だった。 まさしく強敵だった。 何度も返り討ちにあった。 挫けかけた僕たちだったが、一番大柄な男の子が突然上着を脱ぎ捨て(なぜかは今もわからない)、 陽動用のハチミツを素肌にべったりと塗ると、 「後は、頼んだぜ」 そう言って、仲間たちに親指を突き上げて見せた後、果敢に敵陣へと突っ込んでいった。 当然のように無数の鉢に群がられた。 それへ残るひとりが殺虫スプレーの先を向け、もうひとりが噴出口の真下にライターを添えた。 「まさと、おまえのぎせいは忘れん!」 声と同時にスプレーから火が放たれ、大柄な子の体がぼぅ!と燃え上がり、火柱と化す。 「うおおぉぉおおぉぉ――っ!んなこと頼むかあぁぁぁ――――――っ!!!」 燃えながらツッコミを入れるあの姿は今でも目に焼きついて離れない。 直後、後ろでつまらなさそうにしていた子が、燃え上がる男の子を一蹴りで卒倒させ、 さらに地面を転がるように蹴り続けていた絵も忘れられない(結局そのおかげで鎮火し、彼は助かったのだが)。 その後、消防車と救急車が駆けつける大騒ぎになった。 学校では校長室に呼び出され、叱られたりもした。 そこで僕は、彼らの名前を知った。 真人を蹴っていた鈴が女の子だと聞いて驚いたことも覚えている。 それが、僕らの出会いで、そしてそんなお祭り騒ぎのような日々の始まりでもあった。 ずっと、そうして彼らと生きていたら、僕はいつの間にか心の痛みも寂しさも忘れていた。 ただただ、楽しくて・・・ いつまでもこんな時間が続けばいい。 それだけを願うようになった。