帝都百合

昭成10年、秋。 万世一系の“帝皇”が統治し、 建国以来2600余年に渡り繁栄を誇ってきた大ジャポン帝国に、 不吉な予兆が訪れつつあった。 長びく不況はその出口が見えず、 堕落した国政はその解決策を見いだせずにいた。 さらに、帝国の中心たる帝都トキオでは、 改革を求める“帝派”と現状維持を図る“太后派”が対立し、 緊張をより厳しいものにしているのだ。 そんな中、帝皇と宮城警護を目的とした未婚女性だけで構成される近衛連隊の少女達の間では、 「帝が実務を行えないよう、宮城に幽閉されている」という噂が囁かれていた。 折りしも、連隊幹部将校の会合の席で、 ふとしたきっかけから「クーデターを起こして帝をお護りしよう」という話が持ち上がってしまう。 この一言が契機となり、近衛連隊内で蹶起の計画が着々と動き始める。 強硬派の少女達は、同志を増やす手段としてレズ行為を繰り広げ、 躍起への参加を促していた。 帝への想いと、部下である兵士達の名誉と命の問題の狭間で、 近衛連隊体長代理の大須薫は躍起の実行について一人悩みつづける。 そんな薫を慰められるのは、薫附きの下士官である野中百合だけだった。 近衛連隊の少女兵士達それぞれの想い、腐敗した国防軍参謀部の権力の野望、 公安情報局員として暗躍する富士志朗の存在が絡み、個々の思惑が複雑に錯綜する中、 事態はついに昭成11年2月26日のクーデター蹶起へと雪崩れ込んでいく……。

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