大正の半ば、残暑の帝都――。 旧家の令嬢、史絵は恵まれた身上にありながら、探偵業という不穏 な世界に数年来身を置きつづける奇妙な女だった。 そんな彼女に、ある時同業者の八神が、昨年箱根で不可解な死を遂 げた娘の事件を聞かせる。 警察はこれを単純な自殺として片付け、それに承服出来ない遺族が 八神に依頼したものだったが、 程なく史絵はその娘がかつての同級生であった事を知り、そこに否応無く興味を持たされていた。