朝凪のアクアノーツ

放課後、女の子に校舎裏に呼び出された。 俺、慧本亜樹(えもと あき)の身にまさかそんなことが起ころうなどとは、想像したことすらなかった。 女の子の名は――朝凪深緒(あさなぎ みお)。 風変わりなことで学園では有名な少女だが、その外見は可憐そのものと言える。 そんな子に告白される日が来るだなんて! しかし世の中、そんなに甘くはなかった。 何故なら彼女の目的は……別にあったのだから。 「仕方ないね。……あなたが悪いんだものね。うん、仕方ない。……可哀想だけれど」 朝凪深緒の振り上げた金色のハンマーが、夏めいてきた七月の陽光を反射する。 一体何をしようとしているんだ? 「トボけないでよ!見たんでしょう、わたしの“姿”を!!」 ――真っ黒な闇に沈んだ夜の海。 遠くに見える、街のほのかな明かり。 波の音に乗って流れる、澄んだ歌声。 そして月明りに煌いた、桃色の“鱗”。 何もかもが夢のようだったのに、まさかあれが現実だったなんて――? ……それとも俺が今見ている、この光景こそが夢なのか? ――夏が始まる。 朝凪深緒が俺に見舞った、傍若無人かつ問答無用の一撃が――。 鮮烈で忘れえぬ一夏の幕を開ける。

打开APP,查看更多精彩内容