ディンドランというその名は、急激に知れ渡り始めている。 彼女がここ最近で仕留めた魔物の数は、他の追随を許さない。 そうした実績に加えて、その奇妙な癖も彼女のことを印象付ける大きな要因となっている。 「せいぜい美味しい血を流してちょうだい」 例えば、戦いが終わると、同行していた仲間の腕にしがみつく。 魔物から負わされた“傷口に“唇を当ててくるのだ。 舌を動かし、“仲間の血”を啜り始めるという。 彼女は、こんな風に言い放つ。 「もしもあなたが死んだときは、その血をすべて吸い取って上げる」 彼女の妙な癖は、それだけにとどまらない。 闘いで負った傷口を自らの指で広げ、その垂れ流した血をビンに集めている それらの奇行を、彼女はこんな風に説明する。 自分の呪われた血を薄めたい。だから、他人の血を取りこむ、と―― ディンドランは己の『血』を心の底から忌み嫌っているようだった。 「この血には魔性が宿っているのよ」 ひょんなことから、日記の書き手とディンドランは旅を共にすることになる。 一緒に行動する中で、日記の書き手は知っていく。 彼女が自らの血を忌み嫌う理由は、その忌わしい出生に秘密があった。